オリジナルペンライトの製作ならペンライトファーム

3Dプリンタでオリジナルペンライトを作ってみようと思った。思ったのです。 その1

みなさんはじめまして。竹野内豊です(嘘)。

うっかりこのブログを開いてしまった東西南北 老若男女 魑魅魍魎 全ての方に伝えたい、

オリジナルペンライトの制作現場のお話です。

 

皆さんの家庭にはまだあまり普及していない3Dプリンタ。

これまでの立体物の製作に必要不可欠だった原型師による匠の業を、歴史の闇に葬りかねないチートな技術。

世の中便利になったものです。便利になるってことは、今まで必要だった人が要らなくなるってことなんでしょうか?

でも、人類の歴史ってものはきっとずっと前からそうだったんでしょう。

最近はそのサイクルがとてつもなく、とても追いつけないくらい速くなっただけのこと。

今の子どもたちが大人になる頃、その60%は現在はまだ存在しない職業に就き、今ある職業の50%が消えてなくなるって何かの本に書いてありました。ホンマかいな! ヤバイぜ未来!!

話は逸れましたがそんな3Dプリンタ、制作現場では既に当たり前のように使われています。

それはこのペンライトファームにおいても例外ではありません。

3Dプリンタの普及によって、これまでの制作過程で問題視されてきたアナログ工程における技術的、或いは文化的なノイズを完全に除去することが可能になりました。

要は「出来上がったらイメージと全然違う」ってことがあまり無くなったってことです。

 

能書きはこのくらいにして、そろそろ本題に入りましょう。

オリジナルペンライトの制作風景を皆さんにご紹介します。

 

まずは下描き。

春とビジュアル系バンドをテーマにデザインすることにしました!(←何故?)

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なんかヤバイ。なんというかカオスな中にグロさが香る、仕事じゃまず作らなそうなある意味フリーダムを感じる鬱屈した開放ともいうべきネオメルヘン(?)なペンライト。

土台の花?みたいのが春ってカンジで〜、十字架とかドクロが渦巻いてるあたりがビジュアル系なカンジ(偏見)? そんでダイヤがペカ〜ってなっててぇ〜、それに蔦がぐるぐる〜ってしてるんだぁ〜。ウフフ〜。

とまぁこんなカンジで下描き描いたんで早速3Dデータの作成に移ることにする。と思ったら土台の3Dデータを紛失していることに気づく。メンドクサイけど土台(グリップ)から作り直しや…(グリップは弊社のギャラクシーペンライトのモノを使いまわします)。

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↑コイツが古今東西 春夏秋冬 巷の噂を席巻中(ペンライトファーム調べ)のCOOOOLなペンライツ、その名もギャラクシーーーー!!!!

とりあえず落ち着いて寸法を測る。

計測値を元に3Dデータに反映。

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↑なんかグリップっぽい筒を作って、

アレコレ調整していく。

そんなに複雑な形状ではないのでサクサク作っていく。

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↑グリップできた(15分くらい)。

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↑ついでに光源や床の配置もしちゃう。

光源の配置はペンライトの作成自体には必要ないものなんですが、お客さんにお見せするときにはモデリングデータだけを見せてもわかりにくいのでレンダリングするため、光源や背景等の設定が必要になってきます。でもこれが結構たいへん。カメラマンの方とかだとわかると思いますが、ライティングの良し悪しでモノの見え方も180度変わってしまいます。なのでライティングはモデリングと同じくらい重要だと思います。

ちなみに上のイメージでは、面光源を半透明の物体に透過させ(ディフューザーの代わり)ることで表面材質の設定だけではどうしても上手くいかない、「固くてツルツルした物体に柔らかい光を反射させる」という課題における私なりの設定です。

最終的には二面ある光源の片方を後ろに持っていき、上空からも弱めの光を当てる感じで今回のライティングを決定しました。

sdr

↑こんなカンジでいいかな。

 

とりあえずグリップはできた。ここからようやく主役のモデリング…と言いたいところですが、なんかキリが良いから(言い訳)、以降の製作風景は次の回にしよっかな〜って思っています。

 

ちなみに3Dプリンタ以前の立体物の製作過程を少し説明すると、まずは今回初めに描いたようなラフスケッチを描く。

次にパソコンでキレイに描き起こしたイメージをクライアントに確認。

OKが出たら三面図に落とし込みます。

ここで最初の問題が。三面図になる前のイメージって、正面とか斜め前とか、一番かっこよく見える角度で描くことが多いです。そのイメージを元に三面図に起こしてみると、別の角度から見たらイマイチだったりとか、立体として成り立たせるためにバランスを崩さなければならなかったりします。まぁ最初からその辺も考えてイメージ作れよって話なんですが、納期がなかったり(夕方言われてその日中にイメージ提出しろとか!)すると、やっぱそこまで考えるのって無理やん…?

そんでその三面図を元に原型師が原型用のワックスを使って立体に落とし込んでいくんですが、原型用のワックスといってもみなさんはあまり馴染みがないかと思います。簡単に言うとろうそくのロウみたいなものを削ったり溶かしてくっつけたりして徐々にイメージに近づけていくカンジです。シルバーアクセサリーとか自分で作る方はワックス原型用のワックスをそのままイメージしていただければと思います。

と、ここで二つ目の問題が。三面図を見た原型師は単純に三面図の情報を頼りに立体に落とし込む訳ですが、形状が複雑だったり有機的な形状だったりすると、細部のニュアンスが完全に原型師のセンス丸出しになって出てきます。

私の起こした画を元にしているはずなのに、伝言ゲームのようにイメージがずれてきてしまうんです。

これがはじまると大変です。細かいニュアンスの話って、お互いが同じ引き出しを持ってないといつまでたってもイメージに近づきません…。

そんな紆余曲折をくぐり抜け、出来上がった最終原型。ここから金型作成→量産となるわけです。

で、3Dでイメージを作成することのメリットは、ズバリ上記の2つの問題点をあっさりクリアできるところなんです!

3Dソフトでモデリングしたデータをダイレクトに3Dプリントで出力するということは、最初に挙げた見る角度による立体の矛盾が起きないということです。さらには原型師とデザイナーの間に起きるイメージのズレも発生しません。まさにいいことずくめな気がしますね!

では逆にこの工程によるデメリットは何でしょうか?正直私が考える限りでは特にありません。強いて挙げるならば、最初のモデリングの段階で完成品レベルのものを作る必要があるため、これまでのように「この辺は後で考えればいいか」とか「あとはなんとなく成り行きで」的なことができなくなったことでしょうか…まぁこれは私の問題なのでデメリットとかじゃないんですけどね。

ちなみに私が使用するソフトはオープンソースのフリーウェアであるBlenderという3DCG用のソフト。

なんだフリーソフトで仕事してんのかって?確かに。フリーソフトで仕事してるって聞いたら不安になる気持ちもわかりますぜ。CADですらないとかね。しかし元々私は3Dモデラーとかではなく、仕事の合間を利用し勝手に3Dを独学で学び、何の許可もなくしれっと勝手に仕事で使い始めたという経緯があり、そんなんだから当然予算なんてものも無かった訳です。

逆に今更高価な3Dソフトとか用意されたところでこのBlenderというソフト、オープンソース故なのかUIのクセが大変強く、ハイそうですかと他のソフトになんて移行する気になれません。でもご安心を、このソフト、フリーソフトのくせにハイエンドな3Dソフトに匹敵する機能を取り揃えてございます。心配な方はウィキペディアを見たり、youtubeで海外の3Dアーティストの作品なんかを是非見ていただきたい。日本国内のBlender紹介ビデオはチュートリアル的なものが多く(数年前までは日本語に対応していなかった上に参考書すら皆無だった!)、応用テクニックに関しては殆ど触れられていませんが、頭のぶっとんだ海外アーティストの作品を見れば少なくともソフトのスペックに対する心配なんて無くなるハズ。

そんなわけで(?)次回からはオリジナルペンライトの本丸、発光部分のデザインを3Dに落とし込んでいきましょう!

この記事を書いた人

koji
あまりの方向音痴で高校の帰り道にうっかり遭難し、自宅に救援を求めた過去を持つが、携帯ナビの技術的進歩により近年では道に迷うことがなくなった(グーグルありがとう)。
電車の乗り方がイマイチよくわからず、JRはJR線という電車だと思っていた為、山手線にたどり着くことが出来なかったのは遠い昔の話だ。
名古屋出身。